『イントゥ・ザ・ウッズ』

ブロードウエーのヒットミュージカルを映画化したInto the Woods(邦題『イントゥ・ザ・ウッズ』)は、言葉遊び溢れるセリフと歌のオンパレードです。それもそのはず、作詞作曲が、あの『ウエストサイド物語』の不朽の名歌詞を書いたスティーヴン・ソンドハイムによるものだからです。

「森の中へ」というタイトルにも言葉遊びが隠されています。イディオムout of the woodsは、「危険から脱して」という意味で、We’re not out of the woods yet.(まだ油断はできない)のように、よく否定形で用いられます。このように「森」は困難や危険のシンボルでもあり、「その中へ」というイメージが、看板やポスターを見る者の心をくすぐるのです。

ソンドハイムには、CINERAMA(シネラマ、20世紀の大スクリーン)と書いてある看板を見て、そこにAMERICANという別の語を見つけたというエピソードがあり、word player(言葉遊び家)の間では神様とされています(少なくとも私はウエストサイドの歌詞も含め、そう思っています)。

こうしたスペルを並べ換えて別の語を作る作業、あるいはその結果得られた言葉をアナグラム(anagram)と呼びます。そして彼のこの偉業を英語で言うなら、He found that CINERAMA has an anagram: AMERICAN.、あるいは動詞にして、He anagrammed CINERAMA into AMERICAN.となります。

そして先日、何と私は、ソンドハイム・モーメントを持つことになったのです! コーヒー店で、カミさんの話を聞きながら、子ども時代に時々行った目黒シネマの建物を眺めていた時です。

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CINEMAの文字が、ララっと並べ換わりANEMIC(貧血症の)になったのです! 子ども時代にこうやっていれば・・・(といっても当時は別の館名だったようですが)。というわけで、CINERAMAをアナグラムした青年スティーヴンは、あのWest Side Storyを書き、CINEMAをアナグラムした壮年ケンは、このBlogを書いています。

カミさんにこの発見をその場で伝えると、You were not listening to me.と恨まれるという落ちもついて、私は森へ入ってしまいました。

(ちなみにさきほどネットに入りanagrams of CINEMAで検索したところ、今はなき「氷屋」ICEMANにもなるようです。アイスマンお話でした・・・)

 

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