今日の『ラジオ英会話』 earかearsか イディオムを見つめると

月曜日のDinner Guestは、貫一はお宮に対する怒りの気持ちを誰彼かまわずしゃべりたてるから、彼をディナーに招待するのはよしましょう、という結論に達するまでのダイアログです。

尾崎紅葉の超人気小説『金色夜叉』、The Golden Demonは新聞に6年間連載されたという。私の幼少時代には、「熱海の海岸散歩する貫一お宮の二人連れ・・・」という歌や「今月今夜のこの月を僕の涙できっと曇らせてみせる」といった小説から(らしい)のセリフが流行り、何と歌ったり言ったりしていたことがありました! 家や学校や友達と道で日本語のリズムを体感していたのでしょう。学生服・学帽・マントの男性が着物姿の女性を下駄を履いた足で蹴るという、砂浜ではやりにくそうなとてつもないスタント場面が有名。熱海では砂浜でなく道路になんとその場面の銅像があるらしい!

ハイヒールのお宮が・・・というイメージの逆成も考えられるけれど、金色のデーモンはこのくらいにして、重要表現が、

He’ll talk your ear off about his problems. 彼は自分の問題を誰彼かまわずしゃべり立てます。

このearですが、傾ける耳、というイメージで単数でイディオムを形成しています。

お昼に時々行くお弁当屋さんのご主人は、「先生、ラジオ聞いていますよ。歌がお上手ですね」と仰るので、おかずのパックまで買ってしまうのだけれど、そのお言葉は、

Music to my ears.

これは美しき楽の音のように両耳に入って来る、どんどん聞きたい、という感じのイディオムであり、同じ複数の、

I’m all ears.  是非聞かせてください。

もまた私は全体が両耳であるというイメージでイディオムとなっています。

Little pitchers have big ears. 子どもは大人の話をよく聞いているものだ。

これはことわざ。小さな水差しには大きなears(取っ手、複数であるところがミソ)があるというイメージを地獄耳(big ears)と掛けています。文法面から見ると、水差しにはearはひとつで、例えば普通の水差しの場合、それを複数にし取っ手を単数にして、All pitchers have an ear.と言えますが、ここでは、わざわざ複数にして、”ただの水差しではないぞよ、大きな耳がふたつ付いているぞ”と水を差すわけです。

言葉は、ルールや理屈を平気で飛び越えるいたずら者ですが、そのまま丸ごと覚えなさい、と自分に言い聞かせずに、じっと見つめる時間も持つことで、安定した言語生活が送れます。

031I’m all ears.という耳なのに大声で呼んでも目を開けないBlonderの日常言語生活態度。About 80 years young.

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