拙番組の聴取者で拙ブログにもいらっしゃると仰る翻訳家の桑名真弓さんから、この度書評家としてもデビューされたとの知らせを受けた。
記事の1つは、個人的に実に立派でripperだと感じ入っている映画Pulp Fictionと並ぶOnce Upon a Time in Hollywoodの物語版に関したもので、何と監督Q・タランティーノ自らの筆になるものだ。桑名さんの書評には映画や英語版からの視点もあり、まずは原書へとばかりに取り寄せると、お話のとおり映画とはまた違う視点と展開があって大変面白い。僕は映画のノベライゼーションはまず読まないが、書評に引かれて扉を叩くや、画面と同様に躍動するタランティーノ監督のリズム感、語彙力、そして語り口の世界が待っていた。翻訳の評判も良く、和英を比較するのも楽しそうだ。
もう1冊は、米国を舞台にイタリア系移民とムスリムの恋人を中心に展開するとある。二人の人間が文化的な障害を越えて引かれ会うという現象の「なぜ」が僕には未だによくわからないのだが、2016年、多様化の高波に揺さぶられる人間模様を、Diversity、Equity、Inclusion、Racism等々が混濁し洪水化した現代から眺めるのは意義あることと思う。
『その昔、ハリウッドで』
https://note.com/yasushi_kaneko/n/n1a5a201b8bd1
『なぜではなく、どんなふうに』
https://note.com/yasushi_kaneko/n/n29a1467522d5
どちらも『図書新聞』にご寄稿。