ムック『遠山顕のいつでも!英会話入門』の内容に関する質問がちらりほらりと来ています。そこで、Q&Aコーナーをセットアップすることにしました。端的にまとめてお送りください。質問はこちらで選び、お名前を明かさず、不定期にお答えします。悪しからず。質問はこのページの一番下にある投稿フォームからご送信ください。
メッセージ本文: Q: いつも楽しく取り組んでおります。つい先程まで2023年春号のDialog11を楽習していました。ダイアログの最後で、遠山先生演じる犬のバスターが、“Not a problem!”と言っているように聞こえたのですが、いかがでしょうか? こういった遊び心、とても好きです。
A: やはり私だとわかりますか・・・まだまだ修行が足りませんね。さてご質問の犬の鳴き声はNot a problem.で正解、とお答えせんと思い、Dialog 11を一応チェックしました。この部分ですね。
E: I’m going to foster him for the next couple of weeks.
D: You are? (すると犬が鳴く。_____。)
この空所の部分でバスターという名の犬が何と言っているのか、というご質問になりますね。この場面を思い出した犬(ケンとも読めますが)に尋ねたところ次の説明がありました。①Not a problem.は、依頼されたことに関し、「問題ございません」といっ、No problem.(もちろん。いいとも。いいですよ)がカジュアルなら、ややビジネスライクな響きがあります。②上のやり取りでは、Eが「依頼」というより「この犬を私が預かってみるわ」という「意図」を表していて、猫派のDはそれに対し「そうなの?」と反応しますが、その中に「これこれ、拙者が猫派と知った上での狼藉か?」という「不本意」感を含ませています。③というわけで、Not a problem.はClose, but no cigar.でした。(これは「惜しい」という表現で、夏号に出て来ますよ。)④で、犬の答えは、(Drum rolls!)、Got a problem?(と、上げ調子になっています)。主語も加えて整地すれば、Do you have a problem?あるいはHave you got a problem?(問題でもあるのですか?)。そしてバスターは後者を略して、「問題ある? どうなんだい、ええ?」という気持ちで鳴いたとのことです。犬が棒でなく人に当たった例でしょうか。楽習をお続けください!
Q: 2022年秋号のDialog7にあるwrite itのコーナー部分の質問になります。 「天然の水分補給ドリンクである梨」の訳にorが使われるのはなぜでしょうか。 自分なりに調べたところ、すなわち、言い換えれば、と出てきましたが、そのときはorの直前にカンマがあることが見極めるポイントと書かれていました。 解答例にはカンマは付いていなかったのですが、それはなぜでしょうか。
ちなみに23年前の高校生のときに遠山先生の英会話入門のラジオを聞きどはまりし、大学生の時に3か月間、青山のカルチャーセンターで先生の講座を受けたこともありました。(最後に写真も撮って頂きました)長い年月を経て、また先生のテキストを本屋さんで見つけ、できるときに英語を勉強しています。先生の英語講座は本当に楽しく勉強でき、今でも大ファンです!ありがとうございます。
A: 高校、大学、そして現在と、ご静聴、ご受講、ありがとうございます! 質問にお答えします。
orは①sakura or cherry blossomのように同じ意味で別の言葉を持ってくる際に使いますが、別の言葉が短かったり、sakuraという言葉がよく使われている日本での会話で、sakura, or cherry blossom, と表記することは、仰るような「見極める」指標というよりも、もったいぶった印象があるので避けました。Ueno Koen or Ueno park、hoki or broomなどもその例です。②近年作られたショートビデオにBearskin, or the Man Who Didn’t Wash for Seven Years (グリム童話より)があります。このorは主人公の「熊皮」というあだ名の人物を言い換えていることを示すものですが、題名としてorの前のカンマが略されることがあります。またここでは、nashi pears or natural thirst quenchersのor以下はダイアログですでに学んでいることもあり、これもカンマ無しで表しています。nashi pears or “natural thirst quenchers”と引用したことを表すのもよいでしょう。
日本語と同じように英語も面白いものですね。これからも和と洋の魂と才の開発にお励み下さい。Keep on smiling!
Q: 春号Dialog 1の”I never saw it coming.”(こうなるとは思いもしませんでした)は、良いことが起こった場合にも使いますか。それとも悪いことが起こった場合だけでしょうか。教えてください。
A; ダイアログでは、ある期間付き合っていて、このまま何とか続くだろうと想定していたことが、意外な方向に転換するというショッキングな事態を、男性のノアがI never saw it coming.で表しています。このように、I never saw it coming.は、通常something very unpleasant (大変不快なこと)を伝えるのに使われます。
ただ、急激な方向転換の結果が、常にショッキングで不快なことかというと、そうでもありません。
ネガティブなことになるだろうとたかをくくっていると、急激にショッキングなほど快い・ポジティブな方向にものごとが転じる、そんな場合にも使うことができます。
たとえば米国や英国で隠れたタレントを発掘するAmerica’s/Britain’s Got Talent(AGT/BGT)という大人気の公開オーディション番組がありますが、その売り物はshocking unexpectedness「ショッキングな意外性」です。舞台に登場した出場者に審査員たちがまず質問をし、次に「大したことはなさそうだ」という表情でパフォーマンスを促すと、突如驚くべき才能が披露されるというシーンがうまく組み込まれています。AGTやBGTで起こった意外でショッキングなシーンを集めたいくつかの場面はこのサイトにあるので参考まで。
https://www.youtube.com/watch?v=hsmpQ8HAnXs
そしてこのサイトのタイトルが!
“THEY NEVER SAW IT COMING! 14 Most Unexpected Auditions That SHOCKED The Judges on AGT and BGT“
というわけで、出来事が衝撃的な意外性を持っている場合に、それをnever saw it comingという慣用句で表すことができるのです。
このneverは、ある期間(たとえば『春号』のノアとエマが付き合った期間や審査員たちが出場者と言葉を交わした時間)があって、その中で今後の予想を立てたところ、それが驚くべき方向転換をした際に、こんな結果が来るとはその期間中に一度も一秒も思ったことがなかった(not ever=never)!と強調するのに使われているのです。
ちなみにドライブ中に急に鹿が現れて車にぶつかったという場合、鹿は出ないぞと予想・想定する期間や時間はまるでなかったわけですから、シンプルに
I didn’t see it coming!
と表すと単純にその過去の瞬間にフォーカスした表現となりスッキリ通じます。
Q: 春号DIALOG1で 結婚していないエマがsingleになりたいと言ったという部分がよくわからないのですが。
A: Section 1「新しい始まり」は、男性ノアが恋人エマから交際を打ち切られたところからスタートします。これは、ノアと二人の共通の友人オリビアの会話のこの部分にあります。
N: I asked if we could start over. 僕はやり直せないかと尋ねたんだ。
O: What did she say? 彼女は何て?
N: She said she needed to be single. 一人になる必要があると。
ここで、結婚していないエマがsingleを使う点が気になるということですね。
singleには次のように、2つのやや異なる意味があるので確認しておきましょう。
1) 独身の状態で
2) 付き合っている人のいない状態で
というわけで、エマは2)の意味でsingleを使っています。
ちなみに、第三者に関して、
Is he/she single?
という尋ねることができます。これは通常1)の意味と解釈され、
Yes.
と答えます。ただ2)かどうか知りたいという場合は、続けて
Is he/she seeing someone?
Is he/she in a relationship?
と尋ねてきます。これらは「付き合っているひとがいますか?」という意味でよく使われます。
ちなみに「boyfriend/girlfriend(恋人)はいますか?」という質問について。
第三者に関してDoes she/he have a boyfriend/girlfriend?と尋ねると、ズカズカ立ち入った感じが強く、こんなに露骨に尋ねるとは、彼女/彼に強い興味があるのだろうか?と相手に思わせることも。
最低上の2つの質問文を憶えておくか、週末はどうだったか、といったスモールトークの中で、相手がWe went to ….などと答えたら、Who did you go with?といった質問をして”解明”する、といった持って行き方があります。
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