高校時代に購読していたのは高校英語研究とSFマガジンだったが、後者に関しての鮮烈な思い出のひとつに、小松左京の受賞作品「お茶漬けの味」がある。タイトルの奇抜さに惹かれて目を通すと。タイムトラベルを終えて帰還した宇宙飛行士を迎えたのは、コンクリートで地上を舗装し続けるロボットだらけの地球だった、そこで彼は、という話だったと想う。
「コンクリートジャングル」という映画作品(実は「アスファルト・ジャングル」の思い違え)、「鉄筋コンクリート」という新時代の花形、小学校の正門前に環状七号線がコンクリートの海のように広がったこと、辞書で覚えた具体的なという硬い意味もあるconcrete、そして「お茶漬けの味」は、私に「コンクリートにはかなわない」という印象を与えることに成功した。
ただ、好きなコンクリート(?)もある。散歩ルートにあるこういったものだ。
手作り感が非常に強い。それもロボットでなく「人手」作りである。
人がstep by stepで作ったという暖かみを感じさせる。 段々陽が射せば暖かみも増す。ちなみに、右手の自転車用ランプ(ramp)は、ジャーンと言ったつもりで下ると、子供時代にタイムスリップする。
AIが進化し続け、その知能がウィキペディアのページを何兆、何京、何垓枚持とうが、一日何億件の新情報をインプットされようが、こうした石段は、ペタペタ叩き、通行規制し、 スジなんぞをこう刻んで、 様子を見に来れば、あ、猫の足跡が・・・といったプロセスを人が経てこそよろし、地上を人が歩く間は、という気がする今日この頃。横丁亭千万。