如月に桜くぐるや極楽寺

鈴木清順監督の痛快作『ツィゴイネルワイゼン』にも見え隠れする極楽寺駅にある極楽寺は好きな寺。

極楽を前に大きな顔をしておるが、それもそのはず角筈ホール。門前に立ててうれし。好きな茅葺きの山門が整髪されておる。門から本堂への短い参道は好きだった。今はきれいにならして美しいが、昔は凸凹。石と土と足との闘いの道。豪雨の日など天国への道はそれなりに厳しかった。裸の桜並木を歩けばすぐ猿滑り・サルスベリ・百日紅・さるすべり・crepe myrtle(これで一本)。これがまあ元気で益々大きくなってよく整えられていた。珈琲の店が閉まっておった。境内写真撮影厳禁。以前からそうだったか。とにかく小さな境内は極く楽に回れる。朱印はgaudyでなくcool也。桜と百日紅の花をば見に戻らん。

♪Heaven, I’m in Heaven
And my heart beats so that I can hardly speak.

にしてはよくしゃべっておる。

 

投機可能な陶器と唄 柳の柄に青柳

よく見かけるこの模様。Willow patternやBlue Willowと呼ばれ、18世紀にイギリスで生まれ21世紀まで生き延びているという。年代物はさておき、英語島のアンティークストアで見つけた(努力せずに)小皿は5ドルでこれは投機にはならない。3,4世紀後はわからないけれど。

20代に見つけて覚えたオウピー夫妻のマザーグース集に収録された歌もあるので下記ご参照。お時間あれば絵柄と突き合わせてご確認、ご確認。

Two pigeons flying high
Chinese vessel sailing by
Weeping willow hanging o ‘er
Bridge with three men, if not four
Chinese temples there they stand
Seem to take up all the land
Apple trees with apples on
A pretty fence to end my song.

ライムの苦心も見えようというもの。

 

「茄子」 田中清さんのプリント

東慶寺の売店で求めたこの絵はがき。
わかりそうで、もうひとつ確信が持てない作品。
作者の田中さんには誠に失礼ながら、というより当方無学をさらしてしまうのだろうけれども、どの位置に落款があるべきなのか、いまひとつ楽観できない。

 

頭の中で文字通り上を下への大騒ぎ。
(おそらく真ん中のものだろうけれども。)
初夢3位が3個で「三なすび」ということは3位あらため1位かな?
とにかく脳内バタバタのあと、収まるところに収まりそうなのは、ひとつの人生のようでした。
Everything falls into place.とはよく言ったもの。
最後に落ちる先は? 正解は?
これはこちらであがいてもなす術は無し。
田中さん、いろいろ考えさせていただき、ありがとうございました。

迷月や

今宵は Super moon + blue moon  + blood moon

言い換えれば lunar trifecta

「マザーグース」的には無論    Rain, rain, go away.

かつ  The cow jumped over the super blue blood moon.

「ウエストサイド物語」的には Tonight, tonight, there’s only you tonight!

かつ Tonight, tonight, the world is full of light!

かつ Tonight, tonight, the world is void of light!

ポピンズ氏風に言えば Supercalifragilisticexpialidociousmoon!

芭蕉風なら 迷月や ネット巡りて 夜もすがら

いや、ありました。

富士山さん

絵の島ならぬ江ノ島の片瀬の浜の富士の山。スマホズームで近よればつかめるような最高峰。

富士山さんと呼んで我がものにしたいぞ。おお撮ったぞ、撮った、頂いた。

と心躍らせても、富士山さんは誰のものでもないし誰のものでもなかったし誰のものにもならない。それが富士山である。なのにスマホ浮かれをしていると

Fuji you think you are!

と声がしそうな冬の午後。と富士見の人。

上田哲さんのカレンダー

名前が似ているからか 富山県とは縁がある。これは上田哲(あきら)さんの写真をまとめたカレンダー。Daysだ。

写真家の作品を写真で撮る。これ、失礼極まりないのは承知の助でお見せします。

上田さんは15歳で電動椅子に乗ることになり、その後デジタルカメラに遭遇したとのこと。手が不自由なためにぶれがあり、椅子にカメラを固定して足でシャッターを押すという工夫をした。カレンダーはこれで11を数えるそうだ。
僕は湘南方面に来て 好きな映画監督小津安二郎の墓が遠くないのは嬉しいし、同氏の撮る室内の場面は あの有名な、低い位置のカメラで撮った切り返しの会話が延々と続き それが微妙な間と相まって独特の静謐さが漂う。「小津の魔法使い」(?)と勝手に呼ばせてもらっている理由はそのあたりが大だ。
上田さんの作品も 固定されたカメラが醸し出す落ち着きと静けさを感じさせる。


地上からの高さが常に変わらない目線の(という印象がとても強い)写真集。
表紙をめくると 「深呼吸をして風を感じながら見ていただけたら・・・」 とある。

ちなみもちなみ おおちなみですが 写真家はcameramanではなくphotographerで、言いにくし。「fゥタグゥfゥー」のように発音すると楽かもしれない。cameramanはテレビや映画界で活躍。