『ラジ英』から ハザードとイーヴル

5月のダイアログOverloaded(過負荷)の中程で、ジョンが義母に、Betty, you’ve got all of your appliances plugged into this extension cord.(ベティー、家電品を全部この延長コードに差し込んでいますね)と指摘するところがありました。(義母をBettyとファーストネームで呼ぶのは英語圏では当たり前のことで、水平的人間関係を建前とするスタンスがこんなところにも現れています。)そして、

It’s a fire hazard. Feel how hot it is.

と延長コードが熱を持っていることを教えます。

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fire hazard(火災の原因)は、辞書の掲載率がかんばしくないのですが、日常会話の常用フレーズです。fireを高く、hazardを低い音で発します。Collinsオンライン辞典では、例文にChristmas decorations can be a fire hazard.があり、クリスマスの飾り付けもファイアハザードになりうるのです。

hazardは「障害、リスク」を表します。「サイコロ」が語源とされ、ゴルフやビリヤード、古代のロイヤルテニスの用語にもなっています。

最新のハザード関連の語として、20世紀後半に生まれたbiohazardがあります。goo辞書の定義では、[名]1 バイオハザード,生物学的有害物質:生物学的研究で用いられたり,つくり出される病原物質.2 生物学的災害:生物学研究用の病原物質が研究室外に出て起こる。

同名の日本発人気ゲームや映画は、英語版ではResident Evilという別名になっています。その意味がよくわからず気になって調べてみました。まず、米国にはすでにBiohazardなるヘビーメタル系バンドが存在していたのがタイトル変更の理由。私はゲームをしないのですが、『バイオハザード』は広大な敷地内の屋敷や研究所で展開されるようで、そこには、生物学的実験で変化した様々な邪悪な住人がいるとのこと。そこで英語タイトルの解釈になりますが、

1) evil resident (邪悪な住人)を詩的に倒置してResident Evil「住人邪悪」なにか中国風。雰囲気はありますが、ただ住人は単数ではないようです。

2) residentは名詞だけでなく形容詞の機能も持ち合わせていて、オンライン辞書で「resident で始まる」を選択すると、resident command「常駐コマンド」、resident database「レジデントデータベース」、resident library「レジデントライブラリー」など、コンピューター用語がズラリ。ゲームタイトルはこうした流れで(along these lines)名付けられた感もあります。そしてevilを不可算名詞として扱って、KOSではタイトル和訳を「常駐邪悪」と言うよりは、「そこに住む邪悪」、いや「そこに棲む邪悪」とでも。

ちなみに高校時代、早川書房の『SFマガジン』を愛読していた私はSF映画のファンでもありますが、伝統的なSF小説や映画では、女性が叫び、男性が救う、という決まったパターンがありました。ですから、『エイリアン』シリーズのリプリーの登場は驚きで、『ターミネーター』シリーズのサラ・コナー、そしてこのゲームの映画版のアリスと、SF主人公の新しい流れはH・G・ウエルズやジュール・ヴェルヌがひっくり返るほど素晴らしいものがあります。

それはともかく、Resident Evilの件、Evil to get it?

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