何々ismとは通常「何々主義」と訳されます。が、誰々ismsと言うと「誰々迷語録」となります。この点について掲載のある辞書はあまりないのですが、直訳すれば「誰々主義」となるので納得しやすいのではないでしょうか。迷言のひとつひとつが誰々ismで、それが集合したものというわけです。(このismの使い方には、からかい半分的ニュアンスが反映されています。)
先月亡くなった元NYヤンキーズ捕手のヨギ・ベラは、その活躍に勝るとも劣らぬYogismsで有名でしたし、これからも迷語録の元祖の一人として米国の、広くは英語圏の大衆文化に存在し続けるはずです。
Yogiはsandlot baseball(草野球)時代、ヒンズー関連の映画に出ていたヨガの行者に似ていたことから付けられたニックネームだと、ウェブサイトYogi Berra Museum Learning Center(ヨギ・ベラ博物館学習センター)http://yogiberramuseum.org/about-yogi/にあります。彼はイタリア系ですが、確かに野球をしている写真を見るとヨガの先生のように見えなくはありません。
捕手の言葉と言えば日本ではノムさんこと野村克也語録が有名ですが、ヨギ・ベラの語録にあるのはすべて一見理屈の通らないものばかりで、大向こうをうならせないところが大人気の源です。代表的なものが、英会話でIt ain’t over….と言えば、till it’s over.と返ってくるほど有名な
It ain’t over till it’s over.(終わっちゃいないぞ終わるまでは)
そして
If you come to a fork in the road…take it. (二叉路に来たら・・・そのまま行け)
Hmmmmmmmm.(う~~~~む。) これは私の反応語録からのものですが、英語にthink out of the box(箱から出て考える)、think outside the box(箱の外で考える)というフレーズがあります。彼の迷言は全てこの箱の外(それもかなり出た)発言かもしれません。
You can observe a lot by watching.(じっと見ることで沢山観察できる)
これなど捕手としての視点からの発言でしょうが、語彙不足的(笑)ともなりそうです。
Always go to other people’s funeral. Otherwise, they won’t come to yours.(他人の葬儀には必ず行け。さもないと自分の時に来てくれない)
Pair up in threes.(3人ずつペアになってください)
このあたりまで来ると、他の迷語録と同じで、いろいろなライターが勝手に加えた感じもあります。
ヨギ・ベラたちのおかげで、英語迷語録をもとに自らの語録を作る癖が未だに抜けない私ですが、ここでヨギに触発された昔の自作を。
If nobody comes to my funeral, don’t worry, I’ll be there.(誰も私の葬儀に来ない場合、心配しないでいい、私が出ます)
それはともかくthinking out of the catcher’s boxを実践したヨギ・ベラの、行者を越えるほど深遠かつ淺近なる迷言群に感謝します。Here’s a smile for you from the bottom of my heart.(?)
BBCのオマージュは、https://www.youtube.com/watch?v=iV0Smtof8zQ で。