今日の日用品 ハーモニカ

昨日の日用品、と言ったほうがより適切かもしれない。父は持っていたし、皆1曲くらいは吹けたようだ。大戦中、三人のプレイヤーと共に歌手として戦地で慰問を行ったこともある父の葬儀に、その方たち(の残された方々)が列席された。トリオはテレビでも時々お見受けした。サラリーマンの父は、戦争を語ることは一切なかったが、友人達がテレビに出るとその話をした。唯一の楽しき思い出だったのかもしれない。

戦前、大船でアメリカのスラップスティックまで踏襲して映画監督としての才能を咲かせた小津安二郎は、大戦から帰還後は、サラダは兎が食べると言って、一切のバタ臭いものを排除し、一種夢のような父と娘の物語を次々と編みだしていった。変わり果てた焼土に、不変の美しさや悲しさを娘像に託し、戦後の父達の沈黙をスクリーンに照射し続けたかったからだろう。小津の魔法使を思うと、寡黙だった父の姿が重なる。

閑話休題。ハーモニカ。

MINORBOYより元気が出る。ちなみにハーモニカの老舗TOMBO社の社名は前進のみで後退しないドンボをイメージしたものという。さらちなに発動機器等の老舗ヤンマーの社名の由来はオニヤンマだという。

draw and blow

これで「吸って吹く」こと。体にも良いという。しんみりした調子を破り、思い切り吸い出し吹き出したのはボブ・ディランだ。彼はコンサートと歌作りをいまもやっている。新曲Murder Most Foulは17分強。元気だ。彼のノーベル賞受賞スピーチは、イカす。

ハーモニカのプレイヤーはharmonicistと呼ばれる。
楽器名harmonicaの発音は

「ハーMOニクゥ」

に近く、アクセント部は「モ」あるいは「マ」になる。
グラスハーモニカglass harmonicaからmouth harmonica、そしてmouthが取れてharmonicaとなった。

その経緯はまず、glass harmonicaが米国建国の父の1人ベンジャミン・フランクリンによって発明・命名される。彼はワイングラスの縁を指先でこすると音が出ることに着目。そのグラスをサイズ順に横に並べたものをペダルで回しながら好みのグラスの縁に指先を当てて演奏するというもの。マホガニーのケース入り。glass harmonicaで検索すると演奏の様子がわかります。ハーモニックに混ざるような音色が不思議。

この流行は一旦下火に。その後、今度は口で”混ざった”音を出すmouth harmonicaが出て、時が経ち、元祖のglass harmonicaは忘れられ、mouthが取れたとのこと。

Draw and blow. 小さくやってもなかなか良い気分になる。

久しぶりに目につき、吹いて、元気に沢山書く。それにつけてもベン・フランクリンのパワーに驚嘆中。

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