夜の常楽寺

昨夜の散歩。雪と夜は町を別の町にする。行き止まり迷い首かしげながらトロトロ往き帰り1時間以上歩く。朝は朝で6時に出発し海へ原稿を書きに行くがモーニングの店が改装で閉じていた。結局戻り近隣の店へ。夜は考えることもあり思い付いて常楽寺へ。別のアプローチにしたが、ここもまた閉じていた。夜の寺にわざわざ向かったのは初めて。 

 山門の
 裸電球
 闇照らし

1個の電球に照らし出されるこの風情は50年代のようで心安らかに。19世紀なら木枯らし紋次郎さんが境内で一夜を明かしたか。800年弱前の開山時は、現在周囲にあるバス停も和菓子屋もアパートも住宅も大工場も舗装道も何もかもなく、海抜10メートルほどの一帯に小山がにょきっとあって、津波のときには人々が寺の裏の山へ駆け上がったか。病院にもなったのが寺だから常楽ではなかったのだろう。お疲れ様。

電球・裸電球light bulbは正式にはincandescent light bulb。寿命は1000時間、そのために使われる電力の5%が光りになるとある。お疲れ様。今もこの灯りが好きなので残りの95%には目を閉じることにしよう。
 オンライン辞典の定義にはincandescent:a: white, glowing, or luminous with intense heat b : marked by brilliance especially of expression c : characterized by glowing zeal : ardent
 このように、白熱、ギラギラというイメージのある単語。

 大昔、鉱山の管理者であった母方の祖父の家に初めて電気が入った夜のことを、「もう家中そこら中まっぴかり」と母が言っていたのを思い出す。当時の子供は、山中の二階屋のとてつもない「まっぴかり」に目と心を打たれたに違いない。

 incandescent。別の辞典に
  full of strong emotion; passionate. 
とあり。例文が
  She felt an incandescent love for life.
この電球の光になぞらえたく英借句:

 A humble temple’s light
An incandescent love for life
 Winter draws in.

 


 

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