海のイディオムsea changeが教えてくれること

sea change 「目覚ましい・実に大きな変化・変貌」

この熟語の元はシェイクスピア最後の戯曲『テンペスト』『あらし』The Tempest1幕2場、難破して生き残ったミラノ大公に、海底に沈んだと思われるその父に関し、島の妖精がこう唄う場面。

Full fathom five thy father lies:
Of his bones are coral made:
Those are pearls that were his eyes:
Nothing of him that doth fade
But doth suffer a sea-change
Into something rich and strange.

荒訳:五尋の底に父君は横たわり/その骨はサンゴとなり/あの真珠はその目であった/父君は形を失いすべて/海がもたらす変化を通し/豊かで異なものになる。

これが19世紀後半に比喩的に使われ始めます。
Longman Onlineでは、a very big change in somethingという説明のあと、a sea change in … の形でよく使われるとあります。例えば、

  The accident caused a sea change in public attitudes.(その事故は国民の意識に大きな変化をもたらした)

のように。

それから世紀は2度変わり、慣用句は生き延び今日に至り、ビジネス界で人気者となり小規模の変化にもよく使われれます。一方、七つの海には巨大コンテナ船がひしめき、プラスチック”島”があちこちに浮かび、洋上発電ウィンドファームが姿を見せ、海温は上昇を始め・・・。というわけで現在はsea changeという比喩表現が、比喩抜きでネガティブなsea changeに大きく変わりそうではないかと危惧する今日この頃。There might be a sea change happening in the meaning of the phrase “sea change.”

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