ヒッチコック映画の和訳タイトルのように、「北北西に進路を取れ」と言われれば、前回最後の画像のような矢印の方向に向けて「ラジャー!」となるのが日本語です。
ただGo north by northwest.という英語指示には問題があるようです。それは「北北西」の略号、
NNW
のように、そのまま
North-northwest.
と伝えるのが正式だという大方の主張があるからです。
理由は、大元の海洋用語は全て「by無し」だからです。ship「船」は海のみか空ではairship「飛行船」、さらに上空ではspaceship「宇宙船」に応用され、動詞navigate「操舵・操縦・航行する」は陸海空宇宙で利用されています。ですから「船ではこう言う」という意見には歴史的重みがあります。それに(宇宙はともかくとして)、North by northwest.という指示だとbyのあとまで待たねばならず、North northwest.の簡潔さが好まれるのは当の然ではと思われるのです。ただ、「by付き」の使用例を挙げる説も一部ありーーこの映画タイトルの影響か? I choose not to choose.です。
更に、この何ともてんやわんやのロマンチックアクション人違いサスペンスマザーコンプレックス克服物語の初稿段階では、最終地点がアラスカで、ニューヨークから「北北西」の方向にあり、それにNorthwest社の名を利用して両義的な意味を持たせたという話もあって、このタイトルは作品同様「大問題作」なのです。
フーッ、どうも疲れる話で、四分の三まで来ましたが、残りは恐縮ながら次回に(^_^;)・・・

YesterdayのワーキングタイトルScrambled Eggsは有名。この作品のヒッチコック監督のオリジナルタイトルはThe Man in Lincoln’s Noseで、逃げる男がリンカーン像の鼻の中でクシャミをする場面を想定していたが、当然ながらスタジオ側にvetoされたとのこと。











