バンコクのグランドパレスにやって来たクローショー夫妻。見学者に紛れて写真を撮っている夫にシャーリーが次のように提案します。
S: Let’s stick together. I don’t want to lose you in the crowd.
離れないようにしよう、人混みであなたを見失いたくない、ということです。
もし離ればなれになってしまったら、一方がもう一方を携帯で呼び出して、
I lost you. Where are you?
と言うことができます。
さてこのカップルが別の意味で離ればなれになった、つまり別れたという場合、今度は「見失う」ではなく「失う」という意味で、
I lost him/her.
と言うこことができます。主語Iに当たる人が、loss(失うこと)をした人となります。
このlossは、例えば、不幸のあった人へのお悔やみの言葉、I’m sorry for your loss.に使われています。つまりlossを持っている人が悲しみの人なのです。
話を愛情を失ったカップルへ戻しましょう。悲しむ人を、家族や友人が次のように主語の転換を行って元気付けることがよくあります。
You didn’t lose him/her. He/She lost you! It’s his/her loss!
「あなたが彼/彼女を失ったのではないんですよ。彼/彼女があなたを失ったのです! これは彼/彼女のlossなんです!」
これは、あっちがあなたという大事な存在を失ったのだ、というメッセージで、元気付けの決まり文句として輝いています。
別れの悲しみにまみれたときに、直接相手に、You lost me!!! It’s your loss!!!と言って頑張ることもできるのです。
誰が誰を失うのか? 主語の省略がほとんどない英語という言語ならではの言い回しを紹介しました。
クローショー夫妻はどうなのでしょう? タイ変なことになるのでしょうか? 余談を許さぬ展開になりましょうか。お楽しみに。