A student of mine said you’re the best history teacher ever.(私のある生徒があなたのことを最高の歴史の先生だと言っていました)
と同僚に言われた歴史の先生が、
Oh, it’s nice of them.
と反応しました。良いコメントをしたのは一人なのですが、それが男女いずれかか分からないのでthemに。こうすればheかsheか尋ねてIt’s nice of him/her.と言う必要がないからです。その生徒が女性/男性だと思った歴史の先生がIt’s nice of her/him.と返すこともあり、そのときは同僚がHim/her.と直すこともありますが、ある一人をthemで絡め取れば面倒がありません。
こうしたthey/them/theirsの使い方(singular they・単数のthey)は14世紀に登場。それまで「彼」の複数はha、「彼女」の複数はheo、「それ」の複数はhitでしたが、これらがすべてtheyに取って代わられ、この例を含め、ヨーロッパ語に見られる男性形や女性形が消えて、それが英語の大きな特徴となります。そしてまもなくHe or she?とジェンダーを問題とする必要のないときにTHEYが使われ始めて今日に至っています。
つい最近まで、文法的にいかがなものかと眉をひそめていた規範文法派も、大方その機能を認めています。その理由のひとつにLGBTQの新しい流れを見逃すことはできません。次の一節を最後まで読んで、”あたらしい”singular theyをチェックしてみてください。(下線はオリジナルにあるものです)
their lifeをhis or her lifeあるいはher or his lifeと「正確さ」を期すと、1)流れが途絶える、2)インパクトが薄れる、3)論文ではない、4)LGBTQコンシャスでない、といった理由で単数のthey、singular theyが大変よく使われます。