あっちには持っていけない You can’t take it with you.   

誰にも否定できないこの至言は19世紀前半に生まれた決まり文句だといいます。

  Enjoy material things while you’re alive.(物質的なものは生きている間に楽しむこと)

とThe American Heritage Dictionary of Idiomsにありました。

日本の「持ってけない」の英語版です。

この言葉が人口に膾炙したのは20世紀前半で、ピュリツァー賞受賞の舞台喜劇(1936年)とその映画化(1938年)によってアカデミー作品賞を受賞したYou Can’t Take It with Youの成功で、一挙に大衆文化に定着したということです。日本では『我が家の楽園』という名で公開されています。

You Can't Take It with You 1938 Poster.jpg

私はこの喜劇を学生時代に(英語で)やったことがあります。

思えば人生のスタート時に、この金言に親しむことができたわけです。

ストーリーは、個人主義者たちの一家a family of individualistsの生き様を描いたもので、主のマーティン・ヴァンダーホフの次のセリフに見ることができます。

(兵器工場を経営するMr. Kirbyに向かって)Maybe it’ll stop you trying to be so desperate about making more money than you can ever use. You can’t take it with you, Mr. Kirby. So what good is it?
ひょっとするとそれが、使え切れないほどの金を稼ごうと必死になっているあなたを止めることができるかもしれませんよ、カービーさん。あっちには持って行けませんからね。何かいいところがありますか?

(stop 誰々 from doing somethingはstop 誰々doing somethingとも言えます)

ウィアー・ザ・ウォーキング・デッド? 我々はゾンビで~す?

ケーブルで映画や英語ニュース番組などはよく見ているのですが、たまたま通りすがりにどうしても聞き違えてしまうのがタイトルのこれ。

思わず画面を見ると、

 『フィアー・ザ・ウォーキング・デッド』

なぜ私の耳では「ウィアー」になってしまうのか。

これは英語の/fɪ/と日本語の/hui/の発音の違いによるもののようだ。というのも、Fear(恐れよ!)の出だしの/f/は強い。一方、「フィヤー」の「フ」HUのHは弱く、Uが強いので「私たちがゾンビで~す!」に(私には)聞こえてしまう。

英語の出だしの子音はおおむね強い、日本語は子音が弱く母音に呑まれがちという両者の傾向が見えます。

時間がある方は、声優になったつもりで、上のタイトルを声に出してみたらどうでしょう。誰もいないときにどうぞ。え? あなたがいる?

Wherever I go, there I am.

そこかな、ひとつのハードルは。いて良いのでは。

P.S. 英語版画像について。theがチョコンと棚に載せられています。機能語はこうして縮められて表記(発音も)されるのが常です。日本語版画像も”付き合って”いますね。

携帯の電池が切れました

これはよくあることであり、よく言うことなので、面白(い?)ジョークの中で覚えておくのも良いかもしれません。

誰かが、

  My battery has/My battery’s run out.(電池が切れました)

もう一人が、

  You’d better catch it.(つかまえないと)

run outには「(主語が)なくなってしまう」という意味がありますが、文字通りには、外に走り出るというイメージがあり、そこで「つかまえないと」というひねったフォローがあるわけです。

ここで、主語を携帯にして、My phone’s run out.と言うと、電話が外へ走り出してしまったイメージが強くなり、比喩的な意味が届かないので、

  My phone’s run out of battery.

と、分離する意味のofをつかったフレーズが適切ですね。

has を使っていますから、なになにしてしまっててね、なになにしちゃった状態なんです、という気持ちが出ます。

くしゃみと英語 その3

くしゃみは3回がひとつの区切りになるようで、あるコメントに、

  I almost always sneeze 3x in a row. Just hold the “bless you” until I’m done.

とあります。xはtimesを表し、Internet lingo(インターネット用語)にもなっていますが、timesと打ったほうが早いかもしれません。「くしゃみはほとんどいつも3回続けてするので、終わるまで例のBless you.はちょっと待ってもらえれば」ということです。Justは、「だからちょっと」「ここはちょっと」といった気持ちを出しています。

これも3ずつするという人のことです。

  I have a coworker that always sneezes in threes. I just wait or count along until it’s been there.

「いつも3ずつ(in threes)くしゃみをする職場の同僚がいて、それが終わるところまで待つか数えるかしています」ということ。このin threesは、Examples often come in threes.(例は3つずつ出ることがよくある)のようにも使われますが・・・。

これはある家族での儀式のようなお話です。

  After three sneezes and “God bless you”s in my family, we get “Get you act together.” lol

「うちでは、3度くしゃみがあって、いくつか”God bless you”があったあとに、「しっかりしましょう」と言われます(笑)」というコメントもあり、職場でも家庭でも、ハクションコミュニケーションが行われています。

⚫「くしゃみ3回、ルル3錠」というキャッチフレーズもありました。そんなに飲んでよいものだったかどうか今でも不明ですが、1957年スタートのCMとあります。

うむ。理由はともかく、子供時代、たしかにこのCMのフレーズをよくリピートしていました。いやこうしたことは過去形ではないか。
たとえばクレジットカードの”Don’t leave home without it”という文句もよく職場で使われていました。たとえば傘を忘れたといった話が出ると、誰かがパッと言うのです。テレビをほとんど見ない現在は別として、このCMキャッチリピート癖は、子供時代から縷々(るる)として続いていたのでした。

3っつずつの金言:

Best things in life come in threes, like friends, dreams and memories.

なのかな。

11月1日

この日はキリスト教圏ではAll Saints Day(諸聖人の祝日・万聖節)で、全ての聖人と殉教者を祝福する日となっている。

go off on/at a tangentとは、話題を急に変えることだけれど、saintsと聞くと、子供の頃覚えた易しい英語の歌、When the Saints Go/Come Marching Inを思い出す。といっても、I want to be in that number.は喃語風であったかも。

一番しか知らないので、思い立ったらウィキ日でチェックしたところ、Oh, when the のあとに次々と異なる言葉が現れては、次のように何番も続くのだ。

Oh, when the drums begin to bang…
Oh, when the stars fall from the sky…
Oh, when the moon turns red with blood…
Oh, when the trumpet sounds its call…
Oh, when the horsemen begin to ride…

ドラムが轟き始め、空から星が落ち、月が血で赤く染まり、トランペットが鳴り響き(最後の審判を告げるために)、(黙示録の)騎士たちが走り出し・・・。これ、終末感が漂っていないか。ブラスバンドのよくやる、チンドン屋さんも時々演奏していた、歌番組で締めに英語でよく唄われた、あのお祭りのような曲がこれなのか。

道理で一番だけが繰り返されるわけである。

結論: 歌は一番に限る。
The first verse is always the best.

ルイ・アームストロングは、これを知っていながら、あの不思議な笑顔を絶やさなかったのか。トランペットも吹きながら。

ちなみに、聖者たちが進んで入っていくのは、天国の門The Pearly Gatesであるという。

この「真珠の門」には、星の数ほどジョークがあるけれど、それはいずれまた。

オー・フエン・ザ・センツと、1ペニーの行列として唄っていた無垢なるころぞ懐かしや。

冷静になれば、聖者はマーチーニはやって来ず。ニューオーリンズでもどこでもない。

地に混乱、天上に聖者連なり真珠の門へと消えて行く! だから

”I want to be in that number.” (あの仲間になりたい)

のに違いない。

私は一体いままで何を・・・。一生を棒に振ったようなショックである。一緒に振りませんか、あなた。

LOL、lol

携帯でメールするという動詞にはtextがあります。

次のユーモアはそれを過剰にやっている人を見分ける方法のようですが。

  You know you’re texting too much

     when you say LOL in real life, instead of just laughing!

  あなたは携帯メールのやり過ぎです、

     実生活で、笑う代わりにLOLと言うなら。

LOLは通常「えlowL」のように発音します。「lowl」のような発音もあります。
意味はたとえば日本の(笑)に近いもので、(I’m) Laughing Out Loudのイニシャルを取ったものです。
元はL.O.L.とタイプされていたものが、キーストローク節約のためにピリオドが消えてLOLとなりました。
大文字にするためのShiftキーを押すことも嫌われて、lolと小文字化した形もあり、両者とも様々なニュアンスを表すことができるので、大変よく使われます。
ただし、メールの最後にLOLと書いてある場合は、意味は通常

  Lots of Luck

で、紛らわしい場合もあり、Good luck.とかThe best of luck (to you).と書くとスムーズかもしれません。とにもかくにも、会話では笑うときには笑うのがベストです。

横浜

オンライン講演会でお世話になったJOYイングリッシュアカデミーの浦島久さんが北の大地から東京へ下っていらして、民放+NHKの放送歴を祝ってくれました。場所は宿泊先と弊所の中間の横浜。

30年強の付き合いになりますが、こうして見ると、この2人、まだ元気に生きていますね!

あの講演会での唯一の心残りは、終盤、浦島さん撮影の星の夜が画面に出て、「顕さん、この写真、星いですか?」と訊かれたときに、「星もいいけど、あたしゃ月がほしい」となんでひとこと言えなかったのかということ(笑)。講演最後で油断していたのかも知れん。
楽しい語らいでした。

get to do somethingの意味をゲットする 『フィールド・オブ・ドリームズ』より

If you build it, he will come.

これは映画『フィールド・オブ・ドリームズ』で主人公が聞く”声”です。このアイオワ州の農地のトウモロコシ畑を切り開いて野球場を作れば、昔、永久追放された選手シューレス・ジョーがプレイをしに戻って来ることができるという運命が秘められた言葉ですが、それを確信し始めた主人公が妻に説明するのが次の英語です。

I think it means that if I build a baseball field out there, that Shoeless Joe Jackson will get to come back and play again.

ここで使われているget toは、「許可やチャンスを得て~できるようになる、~する機会を得る」という意味。

Thanks to Mr. Help, I got to get a job at that place.
「ヘルプさんのおかげで、あそこで仕事をすることができるようになりました」

Free Dictionaryには
You get to watch an extra hour of TV if you eat all of your vegetables.
「野菜を全部食べたらもう1時間テレビを見ることができるよ」

get to the station(駅に着く)など、名詞が来る場合は「あるところに至る」ことを表しますが、get to do somethingも、「~することに至る」という意味で、イメージは同じですね。

映画の場面:

https://www.getyarn.io/yarn-clip/48e30ea1-89a5-4aef-90be-6f04fcafb867

https://www.getyarn.io/yarn-clip/4edf2d0c-8bfa-4c61-a001-65e1895a88be

日常英語 くしゃみと英語 その2

Achoo!とくしゃみをした人に、Bless you!と伝える習慣のある英語圏には、非常に几帳面な人もいます。例えば『英会話入門』で8年間パートナーを務めていただいたジェリー・デイヴィッドソンさん。彼は、スタジオで私がハクションをすると、5回目、6回目あたりまでBless you!で追いかけてくれました。有り難いやら、過分に思うやら、その気持ちは今でも覚えています。

ただ英語圏の人々が皆ジェリーさんのように” 豆 “かというと、さにあらず。色々な意見を持っている人がいるのを「その1」で紹介しましたが、さらに見ていくと・・・。

★まず大きな声のくしゃみ。これはしたりされたりする経験が誰にでもあるのでは。
My husband sneezes so loudly he should be the one saying bless you to us. He scares everyone in the house and probably takes minutes off our lives every time.
私の夫はくしゃみがとても大きいので、自分で私たちにBless you.を言うべきだと思います。彼は家の者全員を怖がらせるわけで、毎回私たちの寿命を何分か縮めているのではないかと思います。

★ドイツ人(系)の方のコメント。
In German, they say that only beautiful people sneeze thrice. I say that after someone sneezes three times.
ドイツ語では、美しい人だけがくしゃみを3度すると言います。私は誰かが3度くしゃみをするとそのあとにそう言います。

★maxや limitを使ったコメントもあります。
Two is max.2度が限度。
Two is my limit.2度が私の限界。

★公平に気配りする人もいます。
Everyone gets two. 誰でも2回。

★言わないでくれと言う人も。
May son said, “No. Do not say, ‘Bless you.'” He thinks it makes him sneeze more.
息子が「だめ。Bless you.を言わないで」と言いまして。それでくしゃみをもっとしてしまうということです。

★辛抱強い方は。
You just wait till they’re done and say it once.
終わるまで待って1度言う。

もう少しありそうなので、今回もTO BE CONTINUED …

Sneezing with the mouth closed does expel mucus through the nose but is not recommended because it creates a very high pressure in the head and is potentially harmful, blocking a sneeze entirely may even prove fatal.

映画Back to the Futureに流れる主題は:Put your mind to it 気をしっかり入れること  

30年前の過去にタイムウォープした息子のマーティが、若い父親ジョージに成功の公式を伝えるところです。

私はイディオム習得番組を作るため、何度も聞いては慣用句や定型の言い回しを拾っていたことがあります。よく出来た風刺喜劇SF映画です。

「気をしっかり入れて取り組めば、どんなことでも達成できるんだ」

BTTFに一貫して流れる surefire formula for success(成功間違いなしの公式)です。

中学時代に最初に知ったmind使用の慣用表現はMind your own business.
こうした強がり表現を使うことはそうありません。人がいなくなってしまう。
ゲラウロブヒア!とか。
まあ、英語を話す人が恐かったのでしょう・・・。

https://www.getyarn.io/yarn-clip/34d2e24e-8bb2-4622-abe8-4766bd5ac43f

https://www.getyarn.io/yarn-clip/f3ebf1f9-6868-4a90-9104-cabe27b13f58