足のつりcrampについて

馬齢を重ねるにつれ増えてきたこの症状。馬鈴症と呼んで楽しいーーはずもなく。
英語では(a) crampと呼ばれ、脚によく起こるので、a leg crampというフレーズがお馴染み。老若男女、時を選ばず、しかし夜に起こることが多く、

I got/had a leg cramp last night.

とジャーナルに記したり、状況によっては人に伝えることができる。

ひどいものはsevereやbadで

I got/had a severe/bad leg cramp last night.

広範囲に起こればmassiveやhugeで

I got/had a massive/huge leg cramp.

つった場所まで伝える必要がないと思えば、legを除く。

ドカーンという音を表すcrumpと差異化するため、もっと開いた、ぎゃーやうわーといった感じの/æ/で行くと意味と辛さがよく出る。

「来た来た」という場合はgetがよりリアルで、

I’m getting a cramp.

特に、calfふくらはぎ(古語:こむら)がやられる。これはhalfとライムする発音で、上の文に加え、

I’m getting a cramp in the calf.

ただ、そんな悠長なことをやっているような場合ではないことが多く、単語レベルで

Aww, cramp……cramp……craー!

と呻く。

その他、

足指:toe(s) large toeの場合もあるし、全体がつることもある。

太もも: thigh

太もも裏: hamstring

つちふまず: arch

お腹: stomach

手指もあり、ものを書いている指がつったといった場合: I had a writer’s cramp.

      ***************

I was hit by a cramp last night.

と、言い換えることもできる。crampは、ほぼ誰にでも起こることらしく、話題にしたくないようでしたくなるという妙な現象でもある。次回はヒットされたときの英語面での対応について。

パブロ・ピカソがコンピュータにひと言

●次々と作風を変化させた画家ピカソは

Computers are useless. They can only give you answers.

発想から完成まで自分で答えを出していくことが信条也。

⚫作家アイザック・アシモフは

I do not fear computers. I fear the lack of them.

安全な未来のためにロボット三原則を想定したSF作家らしい。

⚫米大統領ジョン・F・ケネディーは

Man is still the most extraordinary computer of all.

extraordinaryな人物、extraordinaryな出来事。彼の就任演説を暗記した日々蘇る。

⚫フリークライマーのアラン・ロベールは

Modern people are only willing to believe in their computers, while I believe in myself.

素手で高層建築を登り切るのに頼るのはやはり。

⚫遠山は、

When my computer gets slow, I whisper “Think, Pad, think.”

Hello, jimmy!

ものをこじ開ける「かなてこ・鉄梃」は鉄の棒の先端がカラスの嘴に似ていることからcrowbarの名がある。

その小型のものは

jimmyと呼ばれる。道具を人名の愛称で呼ぶ例で、前回は女性名、今回はJamesの愛称。

もと盗人用語! 皆さん、小型のものを隠し持っていたのでしょうか。それを人名にしておけば苦労ばせぬと納得。

重いものをジワジワと持ち上げる道具を日本ではジャッキというが、英語ではjackで、やはり男性名だが、愛称ではない、とは言い切れぬところ有り。それは:

いにしえからJackはJohnの愛称とされているから。JFKはジャック・ケネディとよく呼ばれたが、あのジャックが本名のジョンのニックネーム。(ジャックがジョンと呼ばれることも)。ミセスKはジャックリーンで、これは短くジャッキーとなり、二人揃えばジャック&ジャッキー。マザーグースでお馴染みの頭韻Jのカップル・ジャック&ジルが霞む頃があった。

道具名が先で、それを使った動詞(高める、引き上げる)が追ったというのが順当。

jimmyからも動詞「短いかなてこでこじ開ける」が生まれています。

Hello, dolly!

Dollyは、DorothyやDolorethやDorisの愛称。ミュージカル映画タイトルは英風にハレウ、ドリー、米風にヘロウ、ダーリ、和風にハロー、ドーリー。Dollyにはgift of godという意味があるという。

小文字で始めれば人形dollに指小辞のyをつけた「お人形ちゃん」的呼び名に。

もうひとつ忘れてならないわけでもないけれど、この大デリバリー時代によく目にするものがこれ。

台車だ。手押し(引き)ハンドルのないものをdollyというが、このようにハンドル付きのものはplatform dolly、platform truck、pushcart dolly、flat dolly、push cartなど名が多々ある。

どうして女性の名がついたのか。Online Etymology によると:

From 1790 as “a child’s doll;” applied from 1792 to any contrivance fancied to resemble a dolly in some sense, especially “a small platform on rollers” (1901). Doesn’t look like one to me, either, but that’s what they say.

「お人形ちゃん」が、小さな台車の名にも使われ始めたという。産業革命時だ。この編者も、お人形には似ていないのでは、と言っている。

そういうえば、長年ラジオ講座を担当いただいたサウンドのプロ小林さんは、スタジオ機器のことを「この子」と呼び、効果音付けの際の楽しみでした。この呼び名は別の方も使っていたことがあり、なかなか良いなと感じ入っていましたが、次回は機器の英語名男性版を。

海のイディオムsea changeが教えてくれること

sea change 「目覚ましい・実に大きな変化・変貌」

この熟語の元はシェイクスピア最後の戯曲『テンペスト』『あらし』The Tempest1幕2場、難破して生き残ったミラノ大公に、海底に沈んだと思われるその父に関し、島の妖精がこう唄う場面。

Full fathom five thy father lies:
Of his bones are coral made:
Those are pearls that were his eyes:
Nothing of him that doth fade
But doth suffer a sea-change
Into something rich and strange.

荒訳:五尋の底に父君は横たわり/その骨はサンゴとなり/あの真珠はその目であった/父君は形を失いすべて/海がもたらす変化を通し/豊かで異なものになる。

これが19世紀後半に比喩的に使われ始めます。
Longman Onlineでは、a very big change in somethingという説明のあと、a sea change in … の形でよく使われるとあります。例えば、

  The accident caused a sea change in public attitudes.(その事故は国民の意識に大きな変化をもたらした)

のように。

それから世紀は2度変わり、慣用句は生き延び今日に至り、ビジネス界で人気者となり小規模の変化にもよく使われれます。一方、七つの海には巨大コンテナ船がひしめき、プラスチック”島”があちこちに浮かび、洋上発電ウィンドファームが姿を見せ、海温は上昇を始め・・・。というわけで現在はsea changeという比喩表現が、比喩抜きでネガティブなsea changeに大きく変わりそうではないかと危惧する今日この頃。There might be a sea change happening in the meaning of the phrase “sea change.”