今週の『ラジ英』 英国女王のユーモアとreassuringについて

水曜日のダイアログでは、タイを訪れているシャーリーとハーヴィー夫妻が、象の保護地区を訪れるグループツアーに参加するかどうか相談しています。ヘビが心配だと言う妻に夫は、(トレッキング)ステッキできみを守るよ、と伝えます。それに対してシャーリーが

S:   That’s not very reassuring.

と答えています。

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動詞reassureはCambridgeのonline辞典に

to comfort someone and stop them from worrying

とあります。「人を慰め元気付け悩みを取ってやる」。その形容詞としてreassuringがあり、ここではnot very reassuringで「それほど元気が出ない、あまり心強くない、それほど安心出来ない」という意味になります。

ちなみに上の定義を見なおすと、someoneを受ける代名詞がthemとなっています。これはsomeoneをhim or her(性別は両方考えられるので)といちいち断る労力を省く”手”で、会話、書き言葉、そしてこうして辞書でも使われています。

このreassuringに関連して、英国の女王エリザベス2世にまつわる逸話(anecdote)があります。女王が犬の散歩に、あるいはどこかにフェアでしょうか、シチュエーションは2,3あるようですが、ある市民が警護のミスなのか女王と鉢合わせの状態となり、驚きながら彼女に

You look awfully like the Queen! (おそろしく女王と似ていますね!)

あるいは

My, you certainly look like the Queen!(何と、女王と実によく似ていますね!)

と言ったとか。この発言にすぐさま女王は、

That’s reassuring.

と応えたと言います。

これは”似ていなければ大変なことになる。よかった”という気持ちで言ったもので、「それは心強いですわ」などと訳せるかもしれません。

私はこの逸話を読んで以来、女王ファンの一人です。ユーモアの真髄を英語にすればquintessential humorと言えますが、これはQueentessential humorと呼べるでしょう。

日本の耳とグスベ

東北を旅して戻った友人から、道中道草して摘んだというグーズベリーを頂戴。子ども時代にご母堂が摘んで教えてくれたという思ひ出の実のようです。これを採取地の八戸では「グスベ」と呼んでいるとのこと。

FullSizeRender グスベ

英語は力を入れる、力を抜く、言い換えれば強弱コントロールの言葉。

「グス」に入力、「ベ」にやや入力後「リー」は勝手にどこかへ行ってしまいなさいとばかりにゆったり脱力すると、なかなか英語らしい音になります。

標準語と名付けられた日本語式に、gooseberryの英語音節を和風音節モーラに変換し、それを網羅して強めるというやり方よりずっ・英語・ちかぃ、というわけです。

グスベ作品としては他に、「うえすけ」(「え」に入力 whiskey)、「めりけん」(American)、「ぐるもうねん」(Good morning.)、隣にあるエニシダ(スペイン語hiniesta) and so on and so forth, and so fifthと続きます。

ご当地のグスベを発見された方、ご存知の方、KOSグズベ課までご一報を。

どちらがどちらを失うか? その2

ちなみに、相手の話の内容がよく分からなくなったとき、

You lost me.

という表現が使われ、次のように利用できます。

You lost me. How did you enter the market again?

これには、I lost you.という自己を哀れむような響きがありません。「あなたは熱心な聴き手(me)を失いましたよ。どうやって市場に参入したのか、もう一度いいですか?」という気持ちです。フォーマルな表現ではなく、職場や日常の場で使われます。丁寧さをプラスするなら、

I’m afraid you lost me. How did you enter the market again?

と、I’m afraidを加えます。

これはあるデパートにあったポスターですが、言っていることがよくわかりません。そんなとき、思わずポスターに向かって、

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I’m afraid you lost me. Can you elaborate?

と応用できます。

それにしても、「もっと買えば、もっとゲットできる!」 Hmmmm….

今日の『ラジ英』から どちらがどちらを失うのか?

バンコクのグランドパレスにやって来たクローショー夫妻。見学者に紛れて写真を撮っている夫にシャーリーが次のように提案します。

S:  Let’s stick together. I don’t want to lose you in the crowd.

離れないようにしよう、人混みであなたを見失いたくない、ということです。

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もし離ればなれになってしまったら、一方がもう一方を携帯で呼び出して、

I lost you. Where are you?

と言うことができます。

さてこのカップルが別の意味で離ればなれになった、つまり別れたという場合、今度は「見失う」ではなく「失う」という意味で、

I lost him/her.

と言うこことができます。主語Iに当たる人が、loss(失うこと)をした人となります。

このlossは、例えば、不幸のあった人へのお悔やみの言葉、I’m sorry for your loss.に使われています。つまりlossを持っている人が悲しみの人なのです。

話を愛情を失ったカップルへ戻しましょう。悲しむ人を、家族や友人が次のように主語の転換を行って元気付けることがよくあります。

You didn’t lose him/her.  He/She lost you! It’s his/her loss!

「あなたが彼/彼女を失ったのではないんですよ。彼/彼女があなたを失ったのです! これは彼/彼女のlossなんです!」

これは、あっちがあなたという大事な存在を失ったのだ、というメッセージで、元気付けの決まり文句として輝いています。

別れの悲しみにまみれたときに、直接相手に、You lost me!!!  It’s your loss!!!と言って頑張ることもできるのです。

誰が誰を失うのか? 主語の省略がほとんどない英語という言語ならではの言い回しを紹介しました。

クローショー夫妻はどうなのでしょう? タイ変なことになるのでしょうか? 余談を許さぬ展開になりましょうか。お楽しみに。

今日の『ラジ英』より landmarkとは

クローショー夫妻は、バンコクのグランドパレスに行くことにしたようで、今日のダイアログでは、

H: Let’s visit the Grand Palace. It’s Bangkok’s most famous landmark.

同パレスは同市の最も有名なlandmarkだと言っています。

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landmarkは、航海の際に、海上から見える陸地の目印という意味があり、灯台を含む陸上の建造物や山などはその好例です。もちろん陸上を旅する際に目印になるものも含まれ、やはり同じようなものがlandmarkとなっています。最近では、もう他に名前の付けようがなくなってしまったのか、あるいは”自負と偏見”からなのか、みなとみらいの「ランドマークタワー」のような”目印タワー”なる建造物が世界のあちこちに建ち始めているようです。

「死ぬ前に訪ねるべき最も有名な25のランドマーク」

という英語サイトがあったので紹介しておきます。死ぬ前しか訪れることは出来ぬであろう、というご意見もありましょうが、写真に短い解説付きでなかなか簡潔にまとめてあります。すでに知っているものごとを外国語で読むときのリラックス度は高く、それが楽しき学びを与えてくれることがあります。このサイトはたまたま見つけたもので、ご自分の25を設定することも良き哉。町内のトップ3とか、この解説を参考にお作りになることも良き哉です。

25 Most Famous Landmarks You Should Visit Before You Die

landmarkには「権威ある歴史的建造物」という意味もあり、バンコクのグランドパレスから高輪消防署まで、広く使うことができます。

さらに、歴史や文化史上の画期的な出来事をlandmarkと呼ぶこともあります。

20年ほど前に購入した小学館ランダムハウス辞典第2版は3キログラムほどあり、昔は枕や筋トレにも利用していました。そこには使用例として、

a literary landmark  画期的な文芸作品 / The court decision stands as a landmark in constitutional law. その判決は憲法上画期的な出来事である。

とありました。

時折り私は想像します。太古、船であちこちから日本列島へ旅して来た人々は、海岸まで緑に覆われた美しい島々を見て、感嘆の声を上げたのではないでしょうか。私ならオールを振ってWowyyyahhhuuua!などと叫んでいたのでしょうか。日本のランドマークは緑だったのです。永らえ世、緑。