チャーリー・ワッツ氏逝く

ローリングストーンズのドラマー、チャーリー・ワッツが亡くなったというニュースで、ローリングストーンズがなくなったと一瞬感じたのは僕だけではないだろう。思えば彼はストーンズの立派な心臓であった。彼の打ち出す正確きわまりない強いビートのせいで、それまで普通に流れていた血液は、波打つように体内を駆け巡り、いても立ってもいられない気分にさせてくれた。その彼はというと、他のメンバーたちのようなスタンドプレイを一切しないという駄洒落を言わずにはいられない特異な存在だった。いつも公園に必ずやって来て皆としっかり遊んでは静かに帰っていくことを繰り返す無口で家のよくわからない子のようなチャーリー・ワッツ。バンドの仕事はジャズ演奏への情熱の火を絶やさぬための生業day jobだという割り切りの良さ。一度、フロントマンのミック・ジャガーが彼をMy drummer.と人前で呼んたとき、He’s my singer.と言い添えたという逸話も実話っぽい。あなたのビートに乗ってよく人生や心のあちこちを歩かせてもらいました。外風呂でラジオを大きくして聞いたSatisfactionから続くビート。こちらのハートが止まるまで打ち続けるでしょう。R.I.P.

日々の頭韻 /s/-/s/ 英語島から豪州まで

A survey says ….は「ある調査によるとなになに」、The survey says ….だと、その前にメンションされたある調査にthe でフォーカスして、その調査結果を紹介できます。

According to a/the survey ….は、どこかドラマチックな響きのあるイントロですが、

一方A/The survey says ….は、サッパリシンプル。

このaやtheを取り去ってさらにシンプルに、頭韻する2語で

  Survey says!(調査では!)

と言って答えを発表するパターンを作ったのが米国テレビの家族対抗クイズ番組。その名も

  Family Feud (「ファムリfューd」1976年スタート)

\(◎o◎)/ これまた/f/-/f/の頭韻!

意味は「家族間抗争」。といっても『ロミオとジュリエット』的バイオレンスは無し。

番組ではOur survey said!やThe survey said!などのフレーズも使われていましたが、Survey says!がキャッチフレーズ(taglineとも言う)化しています。

この番組は外国でコピーされ、広く英語圏のポップカルチャーに浸透。タグラインは冒頭のような見出しにも登場。

これはオーストラリア版です。Survey says!のフレーズをキャッチしてみましょう。

アインシュタインとチャップリンのやり取り

chiasmus(カイあzムs)は通常個人で行うレトリックで、JFKの有名な言葉がよく引き合いに出されます。

 Ask not what your country can do for you, ask what you can do for your country.(皆さんの国が何を皆さんにすることができるかと問うのではなく、皆さんが何を皆さんの国にすることができるかと問うてください)

最初のフレーズの語順を2番目のフレーズで逆にするというトリックを指すことがあります。和訳:交錯配列法、は交差配列法、交錯配語法、交差配語法、交差対句法など。

これを二人で行った珍しい例が、アインシュタインとチャップリンが初めて会ったときに起こりました。但し、カイアズマス風だと断っておきます。

かいつまみますと、ア氏がサイレント映画の王様に「一言も言わないのに世界中があなたを理解する」。チャ氏が物理学界のチャンピオンに「誰も理解しないのに世界中があなたを崇める」。

Einstein said: “What I admire most about your art is that it is universal. You don’t say a word, and yet the world understands you”.

Chaplin replied: “That is true, but your fame is even greater: the world admires you, while no one understands you”.

結び付き

コーヒーとむすびでしばし早朝する(?)こと有り。Spam musubi(スパムむすび)は、スパムを缶詰の形そのままにスライスして白米で挟み海苔で巻いたもので英語島の腹ごしらえ、小腹ごしらえのチャンピオンだ。ナイフとフォークで食してもいいと思うほど私はこの日米の結びつき食品を荘重なる気持ちで敬愛している。

カフェで1つ注文する。それから作るので5分待つが、出来たときに名前で呼ばれるので、注文時にAnd your name?と訊かれる。名を告げて待ち、出来立ての温かいむすびをもらい、となりの珈琲店のコーヒーと一緒に外で食べる。

その名前だが、

このように、名を告げれば名を、姓を告げれば姓が注文票に書かれ、出来たときに大声でそう呼ばれる。

だから「さん」付けに慣れている我々は、「トイアーマー!!!」と呼び捨てられて驚く。ここはfirst-name basisを重んじて「ケーn!」と呼ばれるようにしておいたほうが気分が良い。テイラー・スウィフトが注文するならTaylorだろうし、エリザベス・テイラーならLiz、ロバート・テイラーならBobやRob。英国女王はやはりLizであろうと想像する。坂上田村麻呂などは大変だろうなと危惧される。TamuとかMaroとか言えば英語島にマッチするかもしれない。

ちなみに

天むす的省略(clip)があるのも職場の知恵でしょう。

言葉は生きているというけれども

飛躍的な進歩・発明、行き詰まりの突破といった威勢の良い明るい単語が

 breakthrough

で、突き通して破るといったイメージですが、このところ、ワクチンを必要回打った人(fully vaccinated person)の免疫の壁を破ったケースを、

 breakthrough case

そうした感染を

 breakthrough infection

と呼ぶようになりました。

 「ポジティブ」より「ネガティブ」がベターという世界的認識に至ったのも、やはり昨年来のこと。

 英語島でも同じようなことが。そのモットーは、もう何千年も着たような気がするTシャツにもある

これはNo pain no gain.(苦なくして楽なし)の韻を利用したものでしょう。雨ありて虹あり。プロスポーツ関連なら No play no pay.も。ところが、最近は英語島の至るところに、

For the timesーthey are a-changin’.