最終号の表紙の言葉

down the road

「この道を下ったところに」と道案内するなら、It’s down the/this road.と言えるわけですが、「平らな道」の場合、その方向へ指を差し、さてどんな前置詞を持って来ようか、となると・・・・・・

alongかdownになります。downにはalongと同じ「沿って」という意味もあり、「この先に」という表現にも使えます。

ややこしいぞという反応をなさる方。慣れると楽で、down this way(この方向に)、down the/this streetなどの形でと会話でよく使います。

「楽習」10月号は最終号となりましたが、表紙のメッセージで使われている

  See you down the road.

の場合、(this roadではない)the roadは「人生という道」を、down the roadは「この先で」という未来の漠然としたある時点を表しています。

やや渋い言い方であり、人生を旅する者が同じ旅人に掛ける言葉とでもいいましょうか。

フランシス・マクドーマンド以外に主演はいないと感じさせる映画Nomadland『ノマドランド』の最後のセリフが、

  See ya down the road.

でした。

ちなみにこの映画を見て、J.R.R.トールキンの言葉を想っています。

  Not all those who wander are lost.(さまよう者すべてが道に迷っているわけではない)

ゲッコーの卵を初めて見て一言

家人の指摘でベランダに出るとゲッコーの卵が。やや欠けているのでしばらくそこにあったのか。

で素直に一言: This is a first for me.

これはThis is a first time for me.という表現のtimeを省いた分、first timeにあった驚き・とまどい・喜びなどの感情がfirstで半分にならず逆に増幅される、改まらない場の、フレンドリーな雰囲気でいきたいときの表現。その場でThis is a first!と言うことも可。

もう一言、というよりこれは引用なので、卵関連のひとquote:

A good friend is someone who thinks that you are a good egg even though he knows that you are slightly cracked.

良き友とは、あなたがすこうしひびが入っているのを知っていて、かつ「いい卵」(いい人物)だと思っている人を指す.

good eggは古めの(いつカムバックするかは他の古熟語同様不明ですが)イディオム。「頼りになる奴」という響きがあり、英文中のsomeoneをheが受けています。

ついでに、もうひとquote: 

A hen is only an egg’s way of making another egg.(メンドリは卵がもうひとつの卵を作るための方便に過ぎない)

Hmmm.

ゲッコー卵に、禁じられたミント、forbidden Mentos、という名を付けた人もいるようだ。なるほどそう言われればである。

日々の頭韻 /w/ – /w/ 待った甲斐が・・・

It was worth the wait.(待った甲斐がありました)のように使われる頭韻表現。

 be worth the 名詞 (・・・の/・・・する甲斐がある)

の形で、be worth the try(やってみる甲斐がある)、be worth the effort(努力する甲斐がある)、be worth the time spent(時間をかける甲斐がある)のように使います。

 It was worth waiting for.

という形もOK。このヘッドライン3語全文字大文字で写真の助けもあって「甲斐があったぁ」という意味横溢です。

 

コロナで1年待って野球の殿堂入りを果たしたジーター選手が中心の記事。New York Yankees icon Derek Jeter was finally ushered into baseball’s Hall of Fame on Wednesday after a year-long wait to enter the sport’s pantheon of greats following the COVID-19 pandemic.

殿堂入りの決定は野球記者の投票による。397票中396票を獲得したことについて、“Thank you to the baseball writers – all but one of you – who voted for me,” Jeter quipped on Wednesday.とquip(ちらりと皮肉を言う)した。

カナダ出身のラリー・ウォーカー選手も殿堂入りし、カナダ国旗を振るファンに、“I share this honor with every Canadian. I hope for all you Canadian kids out there that have dreams of playing in the big leagues that seeing me here today gives you another reason to go after those dreams.”

日本人選手もやがて・・・いや次々と・・・。

be well worth the …(・・・の甲斐が十分にある)の形もある。例えば今回のヘッドラインを(紙面がもう少しあれば)、

 WELL WORHT THE WAIT

と3連頭韻フレーズにすることもできます。

私の知っている人の知っている人がブラッド・ピットを知っている

こんがらがりそうでこんがらがらないリアルな日本語の物言い。英語ではまず

 I know someone who knows ….

という形をベースにして、それを

 I know someone who knows someone who knows ….

と伸ばします。このあと人物名を入れて出来上がりです。

 I know someone who knows someone who knows someone who knows ….

とsomeoneも3人目あたりまで行くと不条理absurdとなるかもしれません。

 ともあれ、この形を使って題名を英語にすると

 I know someone who knows someone who knows Brad Pitt.

となります。

ちなみにsomeoneをsomebodyにすることは勿論可。入れ換えて声に出すと、someoneのあっさり味から、ややこってりした響きになるかもしれません。

それと、2人のsomeoneは違う人たちだから、someone oneとsomeone twoとか、someoneとsomeone elseにしようとか苦悩しはじめた場合は、日本語の持って行き方をチェック。「人」使いが荒い、というよりスムーズでは。

 

西芽亜莉さんのブログで新刊を持ち上げてもらいました!

昨年『遠山顕のEnjoy!英語クロスワード』に挑戦していただいた英語講師・翻訳家・ブロガーの西さんが、新刊の第2弾Challenge!版にも・・・チャレンジしてくれました。有り難き幸せ。持っていき方が楽しく、持ち上げ方も軽々で、思わずやってみようかと思えるほどでした!

こーんな意味があったのかと面白がる西さん。しばらくこの本で遊んでいただければ幸甚です。

ある関西の方が英語で感謝しようとしてつい Thank you very large.

と言ったというのは創作ですが、実はこれ、遠山の義父の決まり文句だったと最近知って、さすが大恐慌時代に育った人物。枠の外で考えるしかなかったのだろうと呆れつつも感動。ここは義父の利を借りて、

西さん、Thank you so very large!

仮定法は4歳児にだってわかる ひとっ走りして4歳児を一人見つけて来なさい

このタイトルは米国屈指の喜劇人グラウチョ・マルクス(我が国ではグルーチョ)の名あるいは迷セリフ

  Why, a four-year-old child could understand this report. Run out and find me a four-year-old child. I can’t make heads or tails out of it.(なあんだ、このリポートは4歳児にだってわかるじゃないか。ひとっ走りして4歳児を一人見つけて来なさい。私にはちんぷんかんぷんだ)

をひねったもの。

仮定法なんて試験をパスすればあとは要りません。現実の話こそ・・・という話をよく聞く。

 I wouldn’t go to the event.(私ならそのイベントには行かないなあ)

 I won’t go to the event.(私はそのイベントに行く気はない)

最初が仮定法の物言いで、私がその立場だったら、という設定をした上での話であることがわかる。冒頭の

  a four-year-old child could understand this report.

のcouldに、ここに4歳児がいたとしたなら可能なのだが、とか、4歳児に見せたとしたら可能なのだが、といった気持ちがまとわりつている。

 機内での飲酒による蛮行が問題視されているUSA。ニュース番組がそれを取り上げ、子どもに意見を伺うというクリップを作った。これはsubtitle(大和の国でテロップ)付きの、その反応だ。

この方たちはfourより少し上かもしれない。というわけで、トピックが現実か仮想かを気にしながら話すことが英会話で不要な誤解を避ける大きなポイントになります。

鍛冶さん逝く

2016年10月の 拙ブログ「やっと果たせた約束」に登場頂いた数独SUDOKUの名付け親で、世界一大きなクロスワード(日本語)を見せて頂いたニコリの鍛冶真紀さんが逝去された。鍛冶さんは同パズルや他の日本発の作品を世界に広めた方でした。ご冥福をお祈りします。思い出の写真を再度。私の復調最初の外出でカミサン付き添いの楽しい一日でした。

サムズアップサインをされているのが鍛冶さん トゥーサムズアップが遠山 当時副社長の後藤さん ニコリ製世界最大のクロスワードパズルを囲んで

バミューダのマーク・トウェイン

マーク・トウェインに魅せられた人・信奉者・熱狂的ファンはTwain-iacと呼ばれる。maniacベースの脚韻造語だ。

僕は全くレベルが違う。トウェインの作品少々と名言集に必ず顔を出す諸引用文から力を得てサバイバルの糧としてきた、いわば彼の訓練生Twaineeである。

ではあるが、タイムマシンがあれば晩年に彼が訪れたバミューダへ飛んで話ができれば幸甚だ。100数十年後の話と僕のことを少々語れば少なくとも1日2日は泊めてくれるだろうか。そしてビリヤード(島にはなかったろうからやはりご自宅に伺ったほうがよいか)に誘ってくれれば結構いられるかもしれない。

次はMark Twain in Paradiseという出版物からの引用文のようだが、彼の”パラダイス”観が垣間見えて興味深い。

There are no newspapers, no telegrams, no mobiles, no trolleys, no trams, no tramps, no railways, no theatres, no noise, no lectures, no riots, no murders, no fires, no burglaries, no politics, no offences of any kind, no follies but church, & I don’t go there.
– Letter to Elizabeth Wallace, March 10, 1910

文中のmobilesとは、当時発明された電話線に地上から電極を伸ばして引っかける通信装置のことだと思われる。ユーモアは哀しみから生まれる。天国にユーモアはない、と言った同氏。

そうじゃ、携帯を持って行けば・・・使えない。

これは英語力とデッサン力の要るビジットになりそうだ。

白いスーツに醤油でも垂らして参ろうか。

これはポケットでエイトボールにつかまったか、米国発「四つ玉」four-ballのくっつきか、いずれにしても、トラブル越えにエネルギーを燃やす姿